
前回のブログに続き、東大現代文に小説が出た!です。登場人物の気持ちを表す心情語や情景描写に注意する点は、中学受験国語とまったく同じでした。出題された佐多稲子『狭い庭』(1956年)のあらすじは、以下のとおりです。
夫婦は、懇意にしている苗木屋に、庭の木を植えてもらっていたが、目隠し用にもっと高い木が欲しいと頼んだ。しかし、苗木屋はそれに応えられなかったので、夫婦は別の植木屋に頼んで、大きな木を植えてもらった。それを知った苗木屋は、職人の誇りを傷つけられ、二度と姿を現さなくなる。夫は、苗木屋を裏切った後ろめたさを感じていたが、妻は、要望に応えられなかったのだから仕方がないと割り切っていた。その後、夫は、仕事上の失敗で誇りを傷つけられた時、苗木屋を思い出して懐かしむ。
(問題文や解答例は、駿台・河合塾・代ゼミ等のウェブサイトをご覧ください。短いので、すぐ読めます。)
問2は、妻が「仕方がない」と言った理由を問うものでした。妻には苗木屋の誇りがわからないが、夫にはわかる。だから、夫は後ろめたさを感じたが、妻は感じていない、という対比構造です。70年前の作品ですから、夫が仕事/妻は家事との役割分担があり、妻には仕事がわからないという時代背景を踏まえます。
今後、東大文科の受験生には、小説の対策も必要でしょうか。高校受験や大学受験では、国語の勉強時間は少なく、小説に至ってはほんのわずかでしょう。一方、中学受験では、国語の比重が大きく、麻布や駒場東邦のように物語文しか出さない学校もあります。上位校の物語文では、「時代や年齢が異なる」登場人物の心情が問われるのです。東大でも物語文を出すとなると、ますます中学受験経験者に有利に働きそうです。
(「2024年入試に最も出た物語文《駒場東邦の場合》」をご参照ください。)