細谷功さんの『13歳から鍛える具体と抽象』が、100万部突破のベストセラーになっています。Amazonでも長くカテゴリー1位にランキングされ、中学生から大人まで、勉強からビジネスまで、一生役立つと評判です。今回はその中から、中学受験の視点で、特に共感する3点を紹介します。
(1) 考えるとは、具体と抽象を行ったり来たり(往復)すること
具体と抽象を行き来する思考は、論理的思考力の中核です。中学入試の国語において特に重要な概念で、大学入試にもそのまま活かせるでしょう。具体と抽象が繰り返される論説文では、筆者の主張が詰まった抽象と、その証拠を説明する具体を、常に意識しなければなりません。
(「SAPIXテスト論説文『具体と抽象』は論理的思考力の中核」をご参照ください。)
(2) 国語、特に長文読解は、平面で一直線に見える文章を立体的な構図にするとどうなっているか、読み解くためのもの
論説文の線引きは、平面に書かれた文章の構造を、立体化して理解するのに役立ちます。例えば、抽象度の一段高い言葉に、筆者の主張が凝縮されていることが多いので、印をつけます。具体例の段落は重要度が下がるなど、文章の強弱・メリハリを理解しましょう。
(「論説文の『線引き』のポイント」をご参照ください。)
(3) 具体的なストーリーは、抽象度の高いメッセージを伝えるためのもの
論説文の読解において、国語が得意な子供は、以下の2つを実践しています。
①具体は早く読み、抽象はゆっくり読む
②抽象の理解を、具体で答え合わせする
5年生から、具体と抽象を行き来する論説文が増えてきますが、特に5年生後期に国語の難易度が急上昇したと感じるでしょう。
(「国語が得意な子供がやっていること」をご参照ください。)
中学受験生は、13歳を待たずに、具体と抽象をマスターしなければならないのです。