『二月の勝者』が第21巻で完結しました。最後の最後で、黒木先生が『二月の勝者』が誰かを教えてくれます。黒木先生と佐倉先生の、どちらが桜花ゼミナールに残り、どちらが去るのか。テレビドラマと違う結末で、私はよかったと思います。
直江樹里さんと柴田まるみさんのエピソード「二月の奇跡」は、文字どおりの奇跡です。正反対の性格の二人による、お互いを思いやるやり取りに、受験生の親は胸熱だったでしょう。結果オーライだったのですが、塾は友達づくりの場ではないので、明暗が分かれるリスクを考えると、深く付き合うのは考えものかもしれません。
本巻では「桜花の女王」前田花恋さんのエピローグに注目しました。最難関合格まで走り切った彼女は、ハッピーエンドかと思いきや、大学受験への競争が続くことに戸惑います。そして、黒木先生を訪ね、経済的に恵まれない子供のための私塾に出会うのです。
中高一貫校は、恵まれた境遇の子供が集まる「同質性」を批判されることがありますが、学校側も心得ていて、多様性を学ぶ取組みがなされています。高校受験がないメリットは、勉強以外にも活かして、自分なりの価値観を見つけてください。前田花恋さんの進学先が東大でなかったのは驚きでしたが、親の背中を見て、医学部へ進学したのでしょうか。