6年生6月のSAPIXオープンB(記述問題)の物語文は、村上雅郁さんの『きみの話を聞かせてくれよ』から『シロクマを描いて』でした。2024年中学入試で最も出た作品で、7つの短編からなる連作です。駒場東邦で出た『タルトタタンの作り方』とともに、この『シロクマを描いて』が栄東A・大妻・横浜雙葉など多くで出題されました。
(「2024年入試に最も出た物語文《駒場東邦の場合》」をご参照ください。)
美術部で浮いた存在になってしまった中2女子が、陸上部の親友とも疎遠になってしまい、孤独に苦しみます。しかし、つらい思いをしていたのは自分だけでなく、親友も苦しんでいたと気づき、友情を大事にしようと誓うのです。場面ごとに2人の心情を読み取る問題で、日頃の学習の成果が出やすかったと思います。
「すれ違い→けんか→他者理解→仲直り→友情が深まる!」の展開は、中学入試物語文の王道で、4月マンスリー『給食アンサンブル』と同じです。6年生であれば、これまで何回も読んだなじみのテーマですから、大きく読み違えることはないでしょう。話の展開を予想して、「解答の要素」になりそうな箇所に「線引き」しながら読む練習をしましょう。
(「物語文の『線引き』のポイントは?」をご参照ください。)
それでも得点率が38%しかなかったのは、記述問題の難しさです。まずは、「設問の指示」を正しく理解しなければなりません。「最後まで読んで」、「~をふまえて」などの指示から、「出題者の意図=何を答えてほしいか」を読み取ります。ここの理解が甘いと、「解答の要素」を外してしまい、得点にならないからです。
(「記述問題が『嫌い』から『好き』になろう」をご参照ください。)