6年生5月のSAPIXマンスリーの論説文は、大西寿男さんの『校正のこころ』でした。大西寿男さんは著名な校正者で、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」でも紹介されています。大学の講義テキストにも使われ、小学生にはハイレベルの内容です。
筆者は、校正は単なる間違いさがしではなく、誤解されるリスクを抑え、言葉に(読者に届く)力を与えるもの、と説きます。丁寧な説明はあるものの、マネジメント、エンパワメント、ベクトルなど、小学生に馴染みのないカタカナ語が並びます。概念がつかみづらいため、正解率が50%と低くなったのでしょう。
具体と抽象が繰り返される本文では、筆者の主張が詰まった「抽象」と、その証拠を説明する「具体」を意識しなければなりません。記述問題は、抽象に含まれる「比喩」を「直接表現」に言い換えるものでした。60字の字数指定に合わせて内容を膨らませる「上位層向け」の問題です。
選択肢問題には、最近流行りの「抽象から具体を導く」ものがありました。これも、抽象に含まれる比喩を理解できないと、ひっかけの罠にはまります。具体と抽象を行き来する思考は、論理的思考力の中核であり、将来の大学受験やビジネスの現場で、最も有効な武器となるでしょう。
(「国語が得意な子供がやっていること」ご参照ください。)