『二月の勝者』に見る繰上げ合格

『二月の勝者』の最新刊(第20巻)では、2月5日からの「繰上げ合格」が描かれています。筑駒や慶応中等部の結果が出て、男女御三家に挑戦した生徒たちから、運命が動き始めます。現実世界とシンクロした進行に、出版社の意図を感じずにはいられませんでした。

 

私自身、繰上げ合格の経験者です。当時は携帯電話がなかったので、親の外出中に、私が学校からの電話を受けました。もちろん嬉しかったのですが、親に入学金を余分に支払わせた罪悪感から、複雑な気持ちだったと記憶しています

 

繰上げ合格の実態は、外から見えません。学校が人数を公表しても、電話して辞退された数は含まないでしょう。一方、塾の合格実績には、辞退した繰上げ合格者もカウントされますから、本当の合格ラインが見えにくくなります

 

今年は繰上げ合格の動きが遅い、という情報もありました。招集日後だと、制服を採寸・発注してしまいます。偏差値や実質倍率を引き上げる意図はないと信じますが、多方面に迷惑をかけるので、学校側には「正規合格を絞らないでほしい」と切に願います