過去問からわかること《攻玉社の場合》

攻玉社は、江戸時代末期から160年も続く男子校で、戦前の海軍に多くのエリートを輩出しました。古風な雰囲気のためか、男子御三家に次ぐレベルから、近年やや難易度が下がったように見えます。しかし、安定して東大に二桁の合格者を出し、早慶も合わせて、難関校に次ぐ高い進学実績をあげています

 

攻玉社の国語と言えば、物語文に戦前の近代文学が出題される特徴がありました。言葉づかいが難解なうえ、時代も年齢もかけ離れた主人公の心情把握は、小学生には厳しかったと思います。2021年から傾向が変わり、物語文は近年の作品となり、論説文も読みやすくなりました。特別な対策が不要になれば、他校との併願もしやすくなるでしょう。

 

設問数は多いものの、ほとんどが選択肢問題です。2023年第1回の物語文は、頻出の重松清『バスに乗って』でした。同じ出典だった東京女学館の2022年第1回と比べると、東京女学館では短い記述問題が5題あったのに対し、攻玉社は全て選択肢問題でかなり易しく感じます。過去問演習として取り組みやすいので、受験しない生徒でもトライしてよい問題だと思います。

 

記述問題は、50~60字程度の1問ですが、本文全体を総括するような骨太な内容です。ここで差がつく可能性があるので、十分な時間をかけて解答しましょう。時間配分を含め、過去問でしっかり練習しておくことをおススメします。