日本経済新聞(広告)に、麻布・慶應普通部・早大学院の校長等による講演・パネルディスカッションが紹介されていました。生成AIとどう向き合うか、難関校でも試行錯誤する様子が伝わります。とりわけ、「生成AIにより文章を書くアウトプット作業が効率化する」との意見に対して、麻布の平校長先生が「書く力以前に読む力の衰えを感じる」と述べられたのが印象的でした。
私もその場で拝聴していたのですが、平先生の話には続きがあって、
「ジャンプも読まないほど、活字離れが進んでいる」
「中1に『江原素六の生涯』の読書感想文を課しているが、書く力がこの10年で明らかに衰えている」
「生成AIの利用により、ますます書く力が衰えることを懸念する」
と仰っていました。
この「書く力・読む力が衰えている」との指摘には、大変驚きました。なぜなら、2023年の麻布の合格者数は365名で、SAPIXからは197名が合格しています。質・量ともに相当高度な記述問題に取り組んできた子供たちが、まさか「書く力・読む力が衰えている」とは思いませんでした。
原因はわかりませんが、例えば、唯一の「正解」を求める姿勢が強すぎるのかもしれません。合格点を取るために「型にはめたトレーニングを大量にこなす」弊害が考えられます。習いごとに慣れた子供たちからは、「我流」が失われています。正解が与えられる「受け身の姿勢」から、自由な発想を表現する「国語力の獲得」へ、マインドセットの切り替えが必要だと感じました。