過去問からわかること《洗足学園の場合》

過去の入試問題をウェブサイトに掲載する学校が増えています。中には、解答例だけでなく、設問ごとの得点率や解説を示してくれる学校もあり、「出題者の意図」を理解する上で、とても役に立ちます。その一つが洗足学園で、近年、東大合格実績・中学受験偏差値が急上昇し、女子御三家に次ぐレベルの人気校になっています。

 

洗足学園の国語は、論説文と物語文で各50点、試験時間50分です。2023年度(第1回)の論説文は、資本主義的な価値観を見直すべきという、よくあるテーマですが、小学生には説明の難易度・抽象度が高い文章でした。前年度に比べて本文が長く、1問目に得点率の低い書き抜き問題があるので、時間配分を誤ると大失敗するリスクがありそうです。

 

論説文・物語文を通じて、選択肢問題・知識問題の得点率は高いです。ひっかけは少ないので、合格を勝ち取るには、ここで落とすわけにいきません。速さと正確さを兼ね備えて、合否を分ける記述問題の時間を確保することが重要となります。

 

記述問題は、理由(なぜか)、意味(どういうことか)、心情を短くまとめる、王道の形式です。文末について、理由は「から。」、意味は「こと。」とする。心情は(以前は「気持ち。」としていたのを)「心情。」としなくてよいと明示されており、受験生が迷わない点で親切です。満点解答を狙う必要はありませんが、部分点をしっかり稼ぐことで、合格者は差をつけるでしょう。解答の要素を見つけ、自然な日本語でつなぐ訓練を、どれだけ積んできたかが問われます。