海外大学の合格実績で中学を選ぶか?②

海外大学への進学について、今回は就職と費用を考えます。まず、海外での就職を考える際、「就労ビザの取得」が最大の関門と言えるでしょう。保守化する政治やコロナにも左右され、就労ビザ取得の不確実性はますます高まっています。

 

実際、多くの日本人学生は、就労ビザを取得できずに帰国して、日本企業か外資系の日本法人に就職しています。学士(Bachelor)で専門性が評価されるのは、STEM(科学・技術・工学・数学)の一部に限られるので、英語スキルは高いものの、一般の新卒と同じく「ポテンシャル採用」ということです。

 

費用はどうでしょう。アメリカやイギリスの大学を卒業するには、渡航生活費を含めて、3,000万円くらいは覚悟しなければなりません。私立大医学部の授業料と同じくらいです。返済義務のない給付型奨学金が増えていますが、就労ビザと同じく狭き門で、はじめから当てにはできないでしょう。

 

このように、投資対効果から見てしまうと、海外大学への進学は効率がよいとは言い難いものです。医師のような資格が得られる訳でもありませんから、大金を投じられるのは、経済的にかなり恵まれたご家庭に限られるでしょう。では、コスパでは測れない「経験」という観点から見たらどうか、次回考えます。