中学受験の受験校選びにおいて、海外大学の合格実績が注目されるようになりました。日本経済に閉塞感があるため、「グローバル人材」に育てたいという親心なのでしょう。果たして、高校卒業から直接、海外大学へ進学することが、どれくらい現実的な選択肢なのでしょうか。
そもそも、「合格実績」ではなく「進学実績」を考えるべきでしょう。1人で5校くらい合格するのは普通ですから、合格者数に比べて、進学者数は相当少ないはずです。結局、進学者は帰国子女だけというのでは、ほとんどのご家庭には参考になりません。
「海外大学」というのも、非常にざっくりした定義です。私が留学先やビジネスの現場で出会った人たちを見ると、アメリカもイギリスも日本以上の「学歴&コネ社会」だと感じました。アメリカならアイビーリーグ+α、イギリスならオックスブリッジ+αが、エスタブリッシュメントを占めています。高収入を得るためにコネが必要、コネを得るために学歴が必要、というのが現実で、大学ならどこでもいいという訳ではありません。
また、海外の就職では、即戦力=専門性を重視するので、修士(Master)・博士(Ph.D.)を評価します。新卒(学部卒)が有利な日本の「ポテンシャル採用」とは、まったく事情が異なるのです。したがって、例えばアメリカで4年制大学(リベラルアーツカレッジなど)を卒業しても、ハイキャリアを目指すなら、私立総合大学(アイビーリーグなど)の大学院へ進むため、あと2年以上は学び続けることになります。