中学受験の受験校選びは、まだ子供だけでは決められないので、親がリードしなければなりません。東京の場合、1月に2校、2月1日から3日に4校、万が一のために2校、これくらいを考えるご家庭が多いでしょう。では、2月1日から3日について、合格率50%の学校を4校受けたら、2勝2敗になるでしょうか。全落ちの確率は1/2の4乗なので1/16、つまり15/16の確率でどこかに受かるなら、極めて勝率の高い賭けだと「一瞬」思えます。
しかし、実際は全合格(4勝)または全落ち(4敗)になる可能性が高い「危険な賭け」と言えます。なぜなら「50%」がいつ時点の学力かが問題で、たいていは12月までの模試の偏差値で考えるでしょう。ところが、1月になると適当な模試がなくなり、立ち位置がわからないトンネル(ブラックアウト期間)に入ります。その間、受験者集団の中で順位は大きく変動しているため、2月1日時点では「50%」のままということはほぼありません。上がっていれば全合格、下がっていれば全落ちという「一か八か」になるのです。
立ち位置がわからない以上、どの選択も賭けには違いありません。要は「危険な賭け」ではなく「安全な賭け」にしましょうということです。1月に順位が上がっていても下がっていても大丈夫なように、持ち偏差値の上・中・下に受験校を決めることが重要です。2月1日午前に本命校を入れたら、1日午後から2日午後までに、必ず合格を得られる選択をする。2日までの結果次第で、3日を決める作戦もあるでしょう。
何度も申し上げますが、中学入学時点の多少の偏差値の違いは、大きな差になりません。「SAPIXの中央値はMARCH以下」という挑発的な見出しが話題になりましたが、中学入学後の過ごし方によって、その後の学力は大きく変わります。周りの声に流されず、幅広い偏差値帯から、お子さまに合う(好きな)学校を見付けてください。