前回に続き、国語力と読書の関係についてです。前回、読書の効用に「読む(文字情報を認識する)スピードが上がる」ことを挙げましたが、それ以外にも、読書が国語の点数アップにつながる可能性はあります。
例えば、語彙について、問題文のために切り取られた文章より、本全体を読む中で語彙に触れた方が、子供には理解しやすいです。物語では(普段知ることのできない)他人の気持ちを知ることができ、その気持ちに相応しい心情語と情景描写を学ぶことができます。確かにこのような効用は期待できるものの、点数アップを目的に読書をさせたのでは、読書本来の「娯楽としての楽しみ」が失われてしまいます。作品の世界に浸って、純粋に楽しむことができなくなるのです。
「入試に出そうな物語を読ませる」ご家庭もありますが、かなり確率の低いくじを引くようなものではないでしょうか。仮にくじに当たったとしても、事前に読んでいた方が有利かというと、そうとも限りません。出題者は、初見の子供が答えられるように問題を作りますし、文章を改編することもあります。与えられた情報から答えるのが、受験国語のルールです。例え事前に読んで知っている内容でも、違う場面のこと(問題文にないこと)を解答してはいけないのです。
そこまで気を配って解答作成できる子供であれば、そもそも初見で合格ラインに達する国語力があります。問題的中は、塾のテスト・テキストに任せましょう。読書は「娯楽」、国語力アップは「精読」でと割り切って考えた方が、子供が純粋に読書を楽しめ、読書嫌いにならないと思います。