国語力と読書の関係は、大きなテーマです。結論から申し上げると、読書をした方が国語の点数アップに有利ですが、読書をしないと点数が取れない訳ではありません。私自身、東大受験に至るまで、読書はほとんどしませんでしたが、国語は最も安定した得点源でした。
国語が得意なことと、読書が好きなことは、全く性質が異なります。例えば、セリフばかりの物語をいくら読んでも、国語力にはならないでしょう。ストーリー展開を追う「読書」と、登場人物の心情や筆者の主張を読み解く「精読」は、全く違うということです。
しかし、読書にも国語の点数アップの効用はあります。それは、読む(文字情報を認識する)スピードが上がることです。近年の中学受験では、国語の問題文が長くなる傾向にあり、高偏差値の生徒でも時間が足りないのが普通です。問題文を「読む時間」を短くして、「解く時間」を長くできれば、テストにおいて大いに有利です。
では、読書嫌いな子供にも、読書をさせた方がよいでしょうか。私もそうでしたが、嫌いなものはどうしようもないのです。そこで、読書嫌いな子供は、読むスピードが遅い弱点を補う作戦を考える必要があります。その一つが「音読」です。音読は速読の妨げになるとも言われますが、それは大人の話です。特に読書嫌いの小学生は、語彙や言葉の組合せが不足しているので、五感を使って、語彙や言葉の組合せを蓄積しましょう。組合せになりやすい言葉を感覚でつかめると、表現力が上がり、記述問題でアウトプットしやすくなります。